近年では、核家族化や子供のいない家庭が増えてきました。
このような状況で、新たにお墓を建てたり、先祖代々のお墓を守っていったりすることは、大変なことです。
そこで、最近では、海や山に散骨する自然葬が増えてきています。
自然葬について
自然葬とは、海や山などの自然の循環の中に自身の遺骨や遺灰も還していこうとする葬法です。
広い意味で捉えるならば、世界中で実施されているさまざまな葬法はすべてこの自然葬なのです。
火葬も、土葬も、水葬(川や海などの水の中に遺体を還す)も、風葬(遺体を雨風にさらして風化を待つ)も、鳥葬(遺体を鳥に啄んでもらう)も、遺体や遺骨を自然に還すという意味では、すべてが自然葬だと言えます。
お墓を建てるスタイルですら自然葬なのです。
なぜなら、石塔の真下はコンクリートで固めずに土が敷かれている構造になっていて、ここに納められた遺骨や遺体は時間をかけてゆっくり土に還っていくからです。
お墓を建てない、というスタイル
さて、より狭い意味で、より現代的な意味で自然葬とは、お墓を建てないスタイルと言い切っていいでしょう。
お墓という人工物は、その建立や撤去に費用がかかる、その処理に困る、などの理由だけでなく、先祖代々が続いていくという、いわば家系の象徴でもありました。
とはいえ、家の跡取りやお墓の墓守がいない、という家庭が急造しています。
昨今のこのお墓を建てない志向は、以下のような急激な社会状況の変化が大きく影響しています。
- 旧来の葬送儀礼への疑問
- 都市化、核家族化、高齢化、少子化によって墓の継承を困難な状況
- 墓地造成にともなう環境破壊への懸念
仏教などが説く死後観を現代人が信じられなくなって来たことにより、お寺の、そしてお墓の価値が感じられなくなっている。
親子が別の場所に住むのが当たり前の時代で、遺骨を埋葬した同じ場所にずっとお墓参りすることが困難になる。
法律上、市街地に簡単に墓地を造成することができないために、人家の少ない山などを削り取って墓地を造成して来た背景があり、そのことに対しての違和感や懸念がある。
主な自然葬は、海洋葬と樹木葬
お墓を立てるよりも、施主や家族の負担が軽減されるとのが自然葬です。
自然葬にもさまざまなスタイルがありますが、現在脚光を浴びている主なものは、海洋葬と樹木葬になります。
それぞれを詳しく見ていきましょう。
海洋葬
粉末状にした故人の遺骨を海や川や山にまく葬法を散骨と呼びます。
その中でも圧倒的に選ばれているのが海洋葬、つまり海への散骨です。
山に撒くということは誰かの土地を向かって撒くことになりますし、川であればたとえ粉末状とはいえ誰かに触れてしまう恐れがあります。
そうした遺骨への畏怖観や衛生観念が、施主本人にも、そして近隣住民にも根強くあるのは事実です。
そのため、海であればこのような懸念も取り払われます。
散骨=海とイメージされている方も多いはずです。
海洋葬 3つの方法
海洋葬は、散骨の形式により、次の3つに分けられます。
- 代行散骨
- 合同散骨
- チャーター散骨
海への散骨を業者に委託する方法です。
自身は海へは行かず、業者に遺骨を預けます。
複数の人が1つの船に乗り込んで沖合で散骨する方法です。
チャーター船を貸し切って一組だけで散骨をする方法です。
樹木葬
樹木葬とは、樹木を墓標としたお墓のことです。
土中に遺骨を埋葬して、その礼拝供養の対象として樹木を用意します。
樹木葬には、里山型と公園型があります。
それぞれの特色を次の通りです。
自然に最も近いかたちの葬法と言えるかもしれません。
山の中に入って、自身の確保できる土地を確認し、その土中に遺骨を埋葬し、植樹をします。
里山のように、周囲全体が樹木というわけには行きませんが、合同の礼拝対象を樹木とします。
1人につき1つの樹木が用意されているわけではありません。
大樹のまわりに個別に埋葬できる区画が割ってあります。
または、他の方と同じ場所に埋葬される合祀(ごうし)の埋葬スペースもあります。
自然葬のメリットとデメリット
自然葬は、従来のお墓を用いたお骨の埋葬方法が社会や時代にそぐわなくなってきてからこそ登場し、支持されてきている葬法です。
合理的で、経済的で、都市化や少子高齢化の問題から、跡取りがいない人たちが自然葬を求めています。
自然葬には、現代の日本のスタイルに合致しており、メリットばかり先行しますが、デメリットもあります。
- 海洋葬は遺骨を海に撒く。また樹木葬は個人墓で家墓ではない。
- 従来のようにお墓を継承する問題を考えなくてもよい。
- 自然志向やエコ志向の考え方に合致する。
- 墓石の建立に比べると費用を安価に抑えることができる。
- 宗旨宗派などにこだわらなくてもよい。
- 海がつながっている、と考えればどこでお参りしてもよい。
- 親族や周りの人たちからの理解が得られないこともある。
- 海洋葬の場合、個別にお参りする場所がない。
- 樹木葬の場合、里山型だとお参りまでの距離が遠い。
- いざ自然葬をしてみた時に、違和感や寂しさが残ることもある。
- あとから遺骨を取り戻したくても取り戻せない。
- 実際に自然葬を実施している数は圧倒的に少ない。
- 費用がお墓の建立と同額ぐらいになる可能性もある。
さいごに
今まで供養=お墓という選択肢がほとんどでした。
ですが、現代では、自然葬が普及しつつあります。
お墓以外の選択肢として、自然葬も検討してみてはいかがでしょうか。
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