生前贈与のメリットとは?生前贈与の注意点も紹介

生前贈与のメリット
せっかく築いた財産だから、できれば後に続いている者に受け渡したい。
亡くなってから財産を相続させると税金が課せられるため、そこで注目を集めてきたのが生前贈与です。

贈与をする対象として、子どもだけではなく孫も認められており、また場合によっては贈与税が課せられることもあります。
誰に、どのように贈与するのがいいのか、生前贈与のメリットとその注意点について考えてみます。

メリット1 節税効果がある

節税効果
相続財産が多ければ多いほど、相続税がかかることになります。
生前の贈与によって相続する財産が減っていれば、将来的には相続税が少なくなるのです。

ただし、全ての贈与が節税になるわけではありません。
非課税となる条件をまずは検討しておきましょう。

  • 基礎控除
  • 年間110万円の贈与税の基礎控除があります。

  • 相続時精算課税制度
  • 2500万円の贈与税が控除されます。

  • 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除
  • 20年以上の婚姻期間のある夫婦間贈与に対する特例で、2000万円までが非課税となります。

  • 住宅取得資金贈与の特例
  • 定められた要件を満たしていれば、購入または建築契約年月日や省エネ等住宅に該当するかといった基準ごとの非課税額が適用されます。

  • 教育資金贈与の特例
  • 孫などへの教育資金贈与の特例で、1500万円までが非課税になります。

  • 結婚・子育て資金の非課税の特例
  • 子どもや孫への結婚・子育て資金贈与の特例で、子育て資金1000万円、結婚資金300万円が非課税の条件です。
    2019年度税制改正によって、2021年3月31日まで期間延長されました。

メリット2 意思と希望によって財産を渡せる

財産を誰に渡すか決めることができる
自身の財産を直接的に贈与するのですから、子や孫など希望の相手に対し、決めた財産を渡すことができます。
場合によっては、法定相続人ではない者に対して贈与をしても構いません。

ただし、気をつけておきたいのが、生前贈与した財産はその後1年間、被相続人の遺留分減殺請求の対象となるという点です。
つまり、もしも贈与後1年以内に亡くなって相続が発生した場合、遺留分を侵害されている相続人が侵害額を請求することができます。

メリット3 財産管理を任せられる

財産管理
生前贈与をすると、手続きが済み次第、財産をすぐに引き渡すことができます。
特に不動産などの場合、土地や建物の管理、固定資産税などの納付といったさまざまな対応が、贈与と共に相手へ渡ることになるのです。

もし、物件を売り払いたい場合も、たとえば親の所有している不動産を子どもが処分することはできず、後見人の選任といった手続きを取らねばなりません。
そのような場合でも、生前贈与されている不動産であれば、子どもが売却手続きをすることも可能です。

メリット4 手間やトラブルが少ない

相続トラブルが少なくなる
生前贈与では、贈与する者と受け取る者の意見交換ができ、互いの希望を伝え合うことができます。
当人がいない中での相続争いといったトラブルには発展しづらいと考えられます。

自分の所有している財産を渡すだけで済む生前贈与の場合、手続きや作業は複雑ではありません。
生前贈与はせずに財産を残すのであれば、遺言書を書くケースも考えられます。

自分で作成するのも労力や手間のかかるものであり、また司法書士に作成を依頼するにはいろいろな打ち合わせが必要となるのです。
 

生前贈与の際に注意したいこと

生前贈与の注意点
忘れてはならないことは、生前贈与は、財産を渡す贈与者と受け取る受贈者との意思表示によって成り立つ契約だということです。
トラブル防止のためには、口頭だけではなく、贈与契約書を作成しておきましょう。

さらに、贈与した財産は、契約のとおり相手に渡さなければなりません。
受贈者が自由に使えないのであれば、名義だけの変更ということになり、贈与とみなされないのです。

そして贈与を受けたのであれば、目的以外に使用したり貯蓄したりすることができなくなります。
結婚子育て資金贈与の特例によるものであれば、その他の購入費用などに充てることは認められません。

また、相続の節税目的で生前贈与をするのであれば、より慎重な考慮が必要です。たとえば、相続時精算課税は相続税の計算に戻されるので、結果的にほぼ節税にはなりません。
所有する財産の状況、贈与者や受贈者の状況によって、さまざまな利用が考えられる生前贈与。
そのメリットは多くあるので、自身のケースに見合った活用をしたいものです。

なお、生前贈与があまり特定の相続人に偏りすぎていると、将来的には遺産分割協議でのトラブルを招く結果となりかねません。
必要に応じて、弁護士などの専門家に相談をし、進めていきたいところです。

税金や遺産分割で不利になるほどの無理が生じていないか、周りの家族の意見も聞きながら、幸せな生前贈与について考えていきましょう。