お坊さん便を利用するメリットと注意点

お坊さん便
ライフルタイルや価値観が多様化する現代において、お寺との付き合いも、従来のように檀家になって寺院にお布施をしながら先祖代々の墓を守るというような風潮などが薄れてきました。

また、近親者が亡くなっても、そのお葬式を、生前関係のあった多くの人を呼ぶ一般葬にする人もいれば、家族や友人のみで行う家族葬にしたり、葬儀の式典を行わない直葬で済ませたりする人も増え、そのスタイルは千差万別となっています。

そんな時代の流れの中で、最近注目を浴びているのが「お坊さん便」です。

お坊さん便とは、読経や法要をするお坊さんを専用のWebサイトで手配するサービスですが、昨今のインターネットの普及で、いつでもどこでもメーカーや生産者から直接商品を購入できるようになったのと同じように、簡単にお坊さんを手配することができるので、今急速に利用者が増えているサービスです。

お坊さん便とは

冒頭でも少し触れましたが、お坊さん便とは、葬儀・法要時の読経や、戒名の授与などをしてくれるお坊さんを、専用のWebサイトを介して、直接手配できるサービスです。

葬儀や法要を行う場合は、葬儀会社やその会場となるホテルや施設が手配するお坊さんに頼むのが一般的ですが、お坊さん便では直接依頼をするため、通常よりも格安で利用できるメリットがあります。
読経などをしてもらう場所は、自宅に限らず、ホールや斎場など、どこでも自由に会場を指定できます。

関東圏を中心に、全国どこに住んでいても、その地域からお坊さんを派遣してもらうことができ、ほとんどの宗派が対応可能となっています。

また、心付けや車代、お膳の用意など一切必要なく、一度きりの関わりなので以降の付き合いを気にすることがありません。
なんと言ってもその安さが魅力であり、お葬式の読経などは、今では3万円台からお願いすることも可能です。

お坊さん便は何をしてくれるの?

お坊さん便って何をしてくれるの?
お坊さん便が提供しているサービスは、主に以下のようなものになります。

葬儀の読経

お坊さんが、お葬式の会場に出向いて読経を行います。
火葬式(直葬)や一般葬、一日葬など、種類によって金額が変わります。

火葬式(直葬)の読経

通夜や初七日、一般的な葬儀を行わずに火葬のみを行う葬儀の場合、近親者のみ集まってその時にお坊さん便で手配したお坊さんが読経をします。

葬儀場の準備や移動も無く、家族や近しい者だけで静かに故人を送ることができる葬儀のため、予算が少ない場合や、高齢者のみで行う場合などに、お坊さん便がよく選ばれているようです。
この際に、読経だけではなく、戒名の授与も一緒に頼むこともできます。

読経と戒名授与を合わせても、一般的な相場の1/3程度で費用をおさめることができます。

一日葬

通夜を行わずに、告別式、火葬、初七日を1日で終える葬儀で、お坊さん便への支払いは、1日のみの手配料となります。
最近では、家族葬などで、通夜を行わず経費負担も軽減できるこの一日葬が増えています。

一日葬の場合も、一般的な葬儀費用の1/3程度の費用となります。

一般葬の読経

通夜を行った翌日に告別式や火葬、初七日を行う一般的な葬儀です。
この場合、手配したお坊さんは2日分の読経を行います。
これは、家族葬などの少人数のものから、生前関係のあった方をお呼びする少し大きな一般葬に至るまで、人数の多寡に関わらず同じ料金となります。

こちらもおおむね、一般的な葬儀費用の1/3程度におさめることが可能です。

法事・法要

お坊さん便では、お葬式以外の法事・法要の場へのお坊さんの派遣も行っています。
主な法事・法要のタイミングは、以下の通りです。

  • 四十九日法要
  • 初盆・新盆
  • 一周忌法要
  • 三回忌法要(以降、七回忌、十三回忌など希望に応じて行う)
  • 納骨法要:お墓に遺骨を納骨する時の法要
  • 開眼・閉眼法要:新しいお墓や仏壇、位牌に故人の魂を迎えるための法要
  • お盆/お彼岸
  • など

それぞれの法要を、自宅やホール・施設で行う場合や、お墓で行う場合等ありますが、どの場所でも対応が可能です。

また、料金は1回あたりの読経で3~5万円程度が相場のようです。

戒名授与

お坊さん便では、戒名の授与も行っており、おおむね2万円~となっています。
戒名とは、仏の世界における個人の名前のことで、戒名が与えられることで仏の世界へ入ることが許されます。
一般的には戒名と言いますが、浄土真宗では法名、日蓮宗では法号と言います。

戒名は、もともとは「院号」「道号」「戒名」「位号」という2文字で統一されていましたが、現代の戒名では、院号・道号・戒名・位号を繋げ、10~15文字程度の長さになっているのが一般的で、その位や長さによって費用が変わってきます。

お金がかかるのであれば自分でつけたいという人もいますが、戒名は、先祖代々伝わる漢字や故人の特徴などを考慮し、先祖代々受け継がれる漢字をなるべく使う、先祖の位を上回る漢字を使わないなど、複雑なしきたりもあるため、お坊さんに依頼することが一般的です。

戒名の費用・相場と注意点について

2017.12.21

お坊さん便を利用するメリット

お坊さん便のメリット
一般的な葬儀会社や葬儀会場に依頼するよりは、安く手軽に手配できるお坊さん便ですが、どのようなメリットがあるのでしょうか。

お布施が相場よりもかなり安い

通常のお布施だと、どのくらい払えばいいかわからなかったり、葬儀会社から言われるがままの請求費用を承諾したりなど、納得がいかないまま支払っているという声を良く聞きます。
お坊さん便は一律3万円などわかりやすい料金設定になっており、しかも相場と言われる金額よりも抑えることができます。

また、お布施以外の車代やお膳代などを一切気にすることがなく、非常にわかりやすいシステムになっています。

僧侶との付き合いが一度きり

読経に来たお坊さんとの付き合いがその場限りとなるので、その後の関わり方の心配や、まして、檀家にならなければいけないなどの規則も無く、気軽に利用することができます。

希望の日時・場所を指定できる

通常お坊さんが忙しいお盆などは、こちらが希望する日時ぴったりにお坊さんが来てくれることは少なく、待たねばならないこともありますが、お坊さん便の場合は、最初に手配する時に予約ができれば、ほぼ間違いなく希望する日時・場所に来てくれます。

読経後の説法が短くてラクという声も

人によって捉え方は色々ありますが、通常の葬儀の場合、読経の後に行われることが多いお坊さんによる説法が、お坊さん便で手配されたお坊さんの場合、短いないしは希望しなければ無しにする場合もあるようです。

お坊さんの説法を必要としない人には、メリットになります。

お坊さん便を利用する際の注意点

お坊さん便の注意点
メリットがたくさんあるお坊さん便ですが、利用する場合は、どんなことに注意をすると良いのでしょうか。

お坊さんのスキルが均質ではない

派遣されるお坊さんによっては、読経も上手なベテランもいれば、駆け出しのお坊さんもいるなど、そのスキルが一定ではないようです。
お坊さんを選べない分安いと割り切れればいいのですが、もし不安な場合は、追加料金を払ってでもベテランを頼めるかどうかなど、問い合わせてみるのも良いでしょう。

読経や滞在時間が短い

お坊さん便派遣のお坊さんによる読経は、通常の読経に比べて短いと感じる人も多く、滞在時間も短いことから、ありがたみを感じないという人もいます。
価格が抑えられている分、簡易な内容になっているケースが多く、やはりじっくりと供養をしてもらいたい場合は、通常のオーダーを利用した方がいいかもしれません。

不安な場合は、事前に問い合わせてみましょう。

ちゃんと来るかどうか不安

インターネット上だけでの手配なので、本当に来てくれるか、ちゃんと読経をしてくれるかなど、来るまで不安になることもあります。
慣れ親しんだお寺のお坊さんと違い、1回きりの関わりとなるお坊さんなので、気軽ではありますが、心配になるのも無理はありません。

こうしたトラブルがおきた場合の問い合わせ先など、事前に確認しておくようにしましょう。

さいごに

インターネットで簡単にお坊さんを呼ぶことに不安を感じる方も多いと思いますが、1度利用してみると、その手軽さやコストパフォーマンスの良さ、しがらみの無い関係を確保できることに満足する人が多いようです。
確かに、今までどのくらい払っていいか不明だったお布施が、一律明朗会計になるので、気持ち的にもすっきりし、納得のいく供養ができそうです。

ただし、やはり高齢の方の中には、慣れ親しんだお坊さんに頼むのが礼儀と考える人も多く、お坊さん便を利用する際には、家族や親せきと話し合ってから決めるようにしましょう。
葬儀だけではなく、近々法要がある場合には、ぜひ検討してみてください。