高齢化社会が本格化し、生きている元気なうちに「終活」を始める人が増えています。
中でも特に、自分が死んだ後のお墓に関しては、ライフスタイルや価値観が変わったことで、先祖代々の墓に入るという意識は薄れてきています。
最近では、お墓を持たずに散骨を希望する人がいる一方で、墓碑を生前好きだったギターの形にしたりサッカーのゴールにしたりなど、お墓の形状にこだわる人もいます。
そのような中で最近増えてきているのが、納骨堂に骨を納めるスタイルです。
本記事では、納骨堂にするメリットや、選ぶ時の注意点などをご紹介します。
納骨堂とは
納骨堂とは、遺骨を納めることができる施設です。
お墓と違うのは、ひとつの建物の中にたくさんの納骨スペースを設けて収納する点です。
形状は、ロッカー型や墓石型などがあり、個人用、夫婦用、家族用など、収める遺骨の数によって料金が変わります。
また、運営母体は、自治体が運営する公営納骨堂やお寺が運営する寺院納骨堂、社団法人などが運営する民営納骨堂があります。
納骨堂を利用するメリット
納骨堂は、ひとつの建物の中にたくさんの納骨スペースを設けている施設が一般的ですが、どのようなメリットがあるのでしょうか。
季節や天気を気にしなくてもいい
一般的な納骨堂は建物内にあるので、雨や雪などを気にすることなく参拝ができます。
外にあるお墓では、季節によって、落ち葉を掃除したり雪かきなどをしたりしなくてはならないですが、納骨堂では大がかりな掃除が必要ありません。
エレベーターやバリアフリーが充実しているところも多い
最近の納骨堂は、高齢の方が参拝に来られても不自由なく移動ができるように、施設内すべてをバリアフリー対応にしたり、エレベーターなどが完備したりされているところが多くなっています。
屋外の墓地などでは、階段や坂などの昇り降りが必要なところもあり、「歳をとってからお墓参りが辛くなった」という声も良く聞きます。
こうした場合にも、屋内の納骨堂はメリットがあると言えます。
多くの納骨堂が檀家にならなくても入れる
納骨堂のほとんどが、宗旨や宗派などの宗教的な制約がなく、どの宗派の信仰であっても遺骨を納めることができます。
また、寺院納骨堂の場合、その寺の檀家で無くても利用できるのが一般的です。
檀家では無いため、お布施や寄付金を求められることもありません。
後継者がいなくなっても永代供養に
納骨堂は、その契約によって、使用期限または、永代供養の期間が決まっています。
ただし、その期間後も希望すれば、遺骨全部を他の人の遺骨と一緒にして埋葬する合祀をしてくれますので、仮に承継者がいなくなってしまった場合にも、永代供養をしてもらうことが可能となります。
お墓に比べると費用が安い
一般的な屋外の墓地にお墓を作る場合は、墓地の借地権である永代使用料や墓石代、管理料などがかかります。
地域によっても異なりますが、相場は200~300万円程度になります。
一方で納骨堂は、遺骨を納めるスペース費用に永代供養料や永代使用料等が含まれる場合が多く、一般的な目安としては、1人用は50万円程度、家族用は100万円程度と言われています。
このほか、年間管理料が1万円前後かかる場合もあります。
ですので、お墓に比べると、納骨堂のほうが費用を安く抑えることができそうです。
ただし、納骨堂の場合であっても、立地やアクセスの良い所では、郊外の施設よりも高くなります。
さらに民営納骨堂の方が公営納骨堂よりも高くなる傾向にあります。
移動が簡単にできる
例えば転勤などで転居することがあったとしても、お墓であれば一緒に移動するのは大変なことですが、納骨堂に納めた遺骨であれば移動も簡単にできます。
一般的な納骨堂であれば、使用期限前であっても、途中で契約解除をし(費用が掛かる場合もあります)遺骨を移すことが可能です。
納骨堂を選ぶ際の注意点
メリットも多く、お墓よりも安く収まりそうな納骨堂ですが、選ぶ場合に、どのような点に注意したら良いのでしょうか。
入壇する必要はあるか?
最近はほとんどの納骨堂が、宗旨宗派の制約が無く、檀家になる必要もなく購入することが可能です。
ただし、寺院などによっては、檀家のみを対象としているところもありますので、事前に確認をするようにしましょう。
納骨可能な遺骨は何体か?
納骨堂を選ぶ際には、将来的に何人の遺骨を納めるのかを決めておく必要があります。
本人1人でいいのか、夫婦2人分を納めるのか、孫子の代まで使うのかなどです。
納骨堂には、1人用や夫婦用、最大10名程度までは納められる家族用などの種類があります。
人数が増えるほど費用がかかる場合が多く、複数の納骨堂の料金や収容人数などを調べて、比較検討するのが良いでしょう。
使用期限があるか?
ほとんどの納骨堂が、使用期限が決まっており、それ以降は合祀として、ほかの方の遺骨と一緒に永代供養をしてもらう形となります。
もし仮に、合祀後に個人の遺骨を取り出したいとしても難しくなってしまいます。
納骨堂を選ぶ際に、使用期限やその後どのような供養にするのかなどを、きちんと確かめておきましょう。
参拝スペースはどうか?
納骨堂の種類によっては、隣のスペースと隣接していることも多く、例えばお盆やお彼岸など参拝者が多く集まる時に、十分な参拝スペースを取れずに納得のいく供養ができない場合もあります。
また、屋内の納骨堂の場合、参拝スペースが狭くて危険なため火気厳禁とし、お線香をあげることができないところもあるようです。
納骨スペースは、施設内の場所によっても費用が変わりますが、参拝時の人数や今後高齢になった時のことなども考えて、選ぶようにしましょう。
お供え物は可能か?
お供え物は、ほとんどの納骨堂で許可をしていますが、施設によっては一切禁止、ないしは、参拝後に持ち帰るのがルールのところや、お盆やお彼岸の期間限定で許可するところもあります。
また、許可しているところでも、1週間ほど後に処分するところが一般的です。
こうした細かなルールも、事前に確認をしておきましょう。
アクセスの利便性はいいか?
納骨堂を選ぶ多くの理由が、高齢になって遠いお墓まで行くのが大変になったという理由です。
そのため多くの納骨堂が、その立地やアクセスの良さをアピールしています。
お盆などには、駅から臨時バスなどを運行する施設もあります。
家からの利便性はもちろんですが、若いうちは良くても、公共交通機関を使うようになる高齢になった時の事や、降雪地帯では冬の往来のことなども考えて選ぶようにします。
費用はどのくらいするか?
一般的に納骨堂を契約する時には、永代使用料だけを支払う場合と、管理費用も含めた料金を支払う場合の大きく分けて2通りがあります。
前者の場合は、契約以降毎年、管理費を支払うことになります。
管理費は1万円くらいが相場ですが、次年度以降、使用期限までいくらかかるのかなど、事前に把握しておきましょう。
さいごに
超高齢化・核家族化が進み、人間関係の希薄化もあいまって、周りに誰も頼れる人がいない独り身、おひとり様が、ますます増えていくと予測されます。
こんな時代だからこそ、一般的なお墓よりも費用が安くて通いやすく、しかも永代供養もしっかり保証される納骨堂は、ニーズにぴったりの新しいお墓の形です。
ただし、家族や親せきの中には、先祖代々のお墓を子孫に継承することを重んじる人もいます。
自分1人で決めるのではなく、彼らとじっくりと話し合って、将来を見据えながら、皆が納得できるお墓を選ぶことが大切です。
また、納骨堂を選ぶとなった時でも、自分や家族のライフスタイルや将来、利便性や予算などを考慮して、複数の場所を比較してじっくりと検討することが重要です。
子孫に負担をかけない、自分たちの納得のいくお墓のスタイルをお選びください。
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