少子高齢化が進み、お墓の継承者がいなくなる可能性が高まっていることから、自分や家族のお墓について真剣に考える人が増えています。
最近では、「永代供養」に注目が集まり、中でも納骨堂での永代供養は、通常のお墓の建立よりも費用を抑えられ、お参りもしやすいとあって、選択する人が増えています。
ここでは、その納骨堂の費用について、その相場や価格が変動する要因などを紹介します。
納骨堂の料金相場
納骨堂とは、故人の遺骨を納めるスペースを備えた建物のことで、個別のスペースを一定期間借用して供養するスタイルのものです。
一定期間は、「一時保管」「親族で代々継承」「永代供養」の3種類に分かれます。
納骨堂で永代供養を選んだ場合は、決められた一定期間後に合祀墓に移され、そこで合同で供養することになります。
なお、「永代」は「永久」という意味ではなく、「一定期間」というのは、おおむね、33回忌までとするところが大半です。
納骨堂で永代供養をする場合の費用は、永代供養料とスペースの使用権を含む「永代使用料」と、納骨堂の維持・管理のための「管理費」に、大きく二分されます。
相場は、納骨堂の運営母体や形状などのタイプの違い、立地・アクセスによっても異なります。
また、納骨堂に1人のみを収めるのか、家族や親族なども含めて大勢を納骨するかによっても金額は変わってきます。
納骨堂を1人で利用する場合
1人用の納骨堂の全国的な平均相場は、約50万円になります。
ただし、納骨堂のタイプや場所などによっても左右され、おおよそ10~100万円々くらいが相場になります。
1人の場合は、通常のお墓を建てるりも費用を安く抑えることも可能です。
また、1人で納まる場合は、「ロッカー型」という、コインロッカーのように1つ1つのスペースが小さめに作られている納骨堂が最適です。
尚、管理費は、1年に付き1万円が平均値で、2千円~2万円が相場とされています。
納骨堂を複数人(親族)で利用する場合
納骨堂を夫婦や、家族、親族も含めて複数人で利用する場合は、約100万円が平均とされており、費用幅としては、50~200万円前後になります。
家族の骨を収める場合は、お供えもできてお参りもしやすい「仏壇型」や、普通のお墓と同じような「墓石型」が良く選ばれます。
納まる人数によって、金額に差が出やすいので、よく調べてから選択するようにしましょう。
納骨堂の費用が変動する4つの要因
これまで相場について紹介してきましたが、相場というもののかなりの幅があることがわかりました。
どうして相場に大きな幅があるのでしょうか?
納骨堂の費用変動に影響する主な要因は、「運営母体の違い」「納骨堂のタイプ」「合祀までの日数」「立地・設備・サービスの違い」の4つが挙げられます。
これらの費用によって相場に大きな幅がうまれます。
1.運営母体の違い
納骨堂を運営する母体は以下の3つに分けられ、それぞれで費用が異なります。
公営納骨堂
県や市などの自治体が運営している納骨堂で、3つの中でも最も安く利用できます。
きれいな設備で管理も行き届いているところも多く、管理費もほとんどかからないことから人気の高い納骨堂です。
購入は公募・抽選で決められることが多く、何回もチャレンジする人も少なくありません。
相場は、1人用で20万円前後、家族用で30~60万円前後になります。
民営納骨堂
民間の法人が運営している「民営納骨堂」は、アクセスが良いところにある施設も多く、公営納骨堂よりも費用が高くなる傾向にあります。
それぞれ独自のサービスや料金設定で差別化を図っているので、自分や家族の希望に合った納骨堂を選ぶようにしましょう。
料金相場は、1人用で50~100万円程度、家族用で100万円~となります。
寺院納骨堂
納骨堂には、寺院が経営するものもあります。
最近は、宗派にこだわらずに、自寺の宗派では無い家の利用も可能なところが多くなっていますが、寺院によっては、檀家になることが前提のお寺や、お布施などが必要なところもあるので注意しましょう。
寺院納骨堂の相場は、1人用で30~80万円程度、家族用で80~100万円程度となっています。
2.納骨堂のタイプ
納骨堂の金額は、納骨堂の形状などの「タイプ」によっても異なります。
ロッカー型
コインロッカーのような形状で、個々のロッカーに骨壺を納めてお参りをするのが「ロッカー型」です。
完全に個人専用のスペースを確保でき、お参りは骨壺を出して行います。
コンパクトサイズなので、掃除等の手間がかかりません。
1人用で使われることが多く、その場合の費用は、10~30万円程度です。
仏壇型
仏壇の下に骨壷を納めるスペースがある二段形式のもので、通常の仏壇のように、遺影やお花、お供え品などを置くことができるのがメリットです。
家族用として使われることが多く、大きいものでは、10人ほどの遺骨を納められるものもあります。
おおむね30~100万円が相場になります。
墓石型
一般的なお墓と同じように供養できるのが「墓石型」タイプの納骨堂です。
屋内にありながら、普通のお墓と同じ墓石を借りることもでき、お参りや掃除がしやすいため、お墓の形状にこだわる人にはメリットが多いタイプです。
費用は、ほかのタイプよりも高額になる傾向があり、1人用で100万円前後になります。
機械型
自動搬送型、コンピュータ制御型とも呼ばれ、専用のカードで受付をすると、バックヤードにある骨壺が、お参りをするスペースに運ばれてくるシステムです。
骨壺のみなので、狭いスペースでも多くの遺骨を収納できるため、駅前のビルや都心で増えているスタイルです。
最近では、24時間営業のところもあり、いつでも便利に、効率よくお参りができる人気の納骨堂です。
料金相場は、1人用で50~100万円程度となっています。
3.合祀までの日数
永代供養には期限があるため、その期限が長いほど費用は高く、短いほど安くなる傾向があります。
永代供養の期限は、一般的には33回忌までですが、納骨堂を利用する場合は、この期限もきちんと確認するようにしましょう。
期限を長く設定しても、管理料の負担を子孫に残すことにもなり、一方で、合祀になった後は、個別に遺骨を取り出すことができません。
ですので、期限を早めに設定してしまい、親族から反感をかってしまう失敗談もよく聞かれます。
永代供養の期限については、家族や親族と相談して、将来のこともふまえて決めるようにしましょう。
4.立地・設備・サービス
納骨堂がある場所や設備のグレード、サービス内容によって、その費用は変わります。
地方都市よりも首都圏の方が高く、アクセスの良い納骨堂や、あらゆる設備が充実しているところは、その分料金が高めに設定されます。
お参りする頻度が多い、足腰の弱い高齢者がいる、地方からの参拝者が多いなど、それぞれの事情を考慮して、多少高くなっても、利便性や設備の充実度を選ぶなどを検討するようにしましょう。
納骨堂の費用でよくある質問
納骨堂の費用の内訳は、「永代使用料」と「管理費」ですが、その支払いは誰がいつすべきものなのでしょう。
例えば「管理料」など、ずっと続く支払いができなくなってしまった場合は、どうするとよいのでしょうか。
納骨堂の費用は誰が支払うべき?
納骨堂の支払い方法には、「永代供養期限までの使用料も管理費も一括で払う」場合と、「最初は永代使用料のみを支払い、管理費は毎年払い続ける」場合の2通りがあります。
永代使用料も管理費も一括払いの場合
この場合は、例えば、33回忌をもって合祀とすると決めた場合、永代使用料と33年分の管理費を先に一括払いするので、以降の支払いを、家族や子孫にさせなくて済みます。
家族に迷惑をかけたくない場合や、自分の遺骨の管理をする後継者がいない場合に適しています。
仮に、家族用の納骨堂を購入する場合は、最初に数体分の費用を支払ってしまうか、1体増えるごとに追加して支払うかのどちらかを選択します。
また、家族用として管理年数が増える場合も、その分実費で支払わなくてはなりません。
あらゆるケースを想定して、納骨堂に確認するようにしましょう。
最初は永代使用料のみを支払い、管理費は毎年払い続ける場合
この場合は、初期費用を抑えることはできますが、毎年平均で1万円の管理費を払い続けなくてはなりません。
家族用の納骨堂を選んだ場合、いつまで続くかわからないので、家族や子孫にその選択肢をゆだねる意味で、この支払い方法を選ぶ人もいるようです。
支払いが滞ってしまうとどうなるの?
管理費を毎年継続支払いする方法を選んだ場合で、例えば契約者が途中で亡くなったり、継承者が経済的な理由で支払いが滞ったり、支払いができなくなった場合はどうなるのでしょうか。
管理側の対応は、「契約者への催促~遺骨の撤去」か、「自動的に合祀する」の2通りがあります。
契約者への催促~遺骨の撤去
最初は契約者へ、その後家族や親族などに催促の電話やはがきが管理者から届きます。
仮にこの催促に応じずに支払わなかった場合は、管理者によって遺骨を撤去することが可能となります。
ただし実際には、未払いが3~5年間続かない限り、遺骨の撤去にはならないようです。
自動的に合祀する
管理者によっては、個別タイプの納骨堂を契約していても、長期の滞納・未払いがあれば、利用契約を解除され、自動的に合祀にするところもあるようです。
こちらも、おおよそ未払いが3年程度続いた場合に適用されるようです。
分割払いはできるの?
最近の納骨堂では、分割払いの相談に応じてくれるところが多く、使用料と管理費を一括で支払う場合などは、その可能性も高くなります。
管理している霊園や寺院は、特定のローン会社と提携していることが多く、一括払いが難しい場合は遠慮無く相談してみましょう。
ただし、今後の支払いが不安な高齢者や身寄りが無い人などは、審査が通りづらいことも多く、その場合保証人を立てるのが難しければ、分割払いの可能性も少なくなってしまいます。
さいごに
納骨堂による永代供養は、天候に左右されずにお参りもしやすいため、人気の供養スタイルです。
その料金は、運営母体や納骨堂のタイプ、合祀までの日数、立地や設備の充実度などによって左右され、1人用なのか家族用なのかによっても選択肢が変わります。
納骨堂を選ぶ場合は、こうした条件ももちろんですが、今後の管理費も含めた料金を一括払いするのか、管理費はこの先ずっと払い続けるのかも含めて、家族や親族ときちんと話し合うことが重要です。
また、それらの詳細を、納骨堂にもきちんと確認して選ぶようにしましょう。
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