無宗教葬儀は、寺院や宮司や神父など特定の宗教者を呼ばずに執り行う葬儀のスタイルになります。
また、自由葬とも呼ばれることもあります。
無宗教葬は無宗教ではない
葬儀そのものが実はすでに宗教行為になります。
ですから、無宗教葬というのは、既存の宗教には頼らない、ということにすぎないのです。
葬儀を取り仕切る導師、死者をあの世に送り出す宗教者の存在を遺族が望まないだけであって、死者を送り出すための、そして悲しみを癒すための、通過儀礼としての葬儀は、やはり必要なのです。
それすら必要を感じない人は、もはや儀式を執り行わずに、火葬(直葬)するだけです。
無宗教葬の流れ
無宗教葬の内容は、喪主や遺族の希望でどのような形を採用しても構いません。
演出や装飾など、自由でオリジナルな葬儀を作り上げても問題ありません。
とはいえ、無宗教葬は宗教者がいないだけで、死者を送り出すための式典であることに違いはありません。
そこには一定の形式や様式が求められます。
こうした形式や様式をゼロから作り上げるのはとても大変です。
したがって、多くの場合、既存の葬儀スタイルである仏式葬儀の中の細かい作法を参考にしています。
たとえば、合掌は黙祷、焼香は献花、寺院の読経は故人の好きだった音楽を拝聴、といった具合です。
決まりがないのが無宗教葬なのですが、ここでは、その一例をご紹介します。
- 開式の辞
- 黙祷
- 故人の略歴紹介
- 親族や知人による弔辞、あるいは故人へのお手紙
- 弔電の奉読
- 故人の好んだ歌や曲の拝聴
- 献花
- 喪主・親族代表挨拶
- 閉式 出棺
司会者による開式の辞で、式典は始まります。
まずは黙祷をして、故人の冥福を祈ります。
司会者によって故人の略歴が読み上げられます。
遺族や参列者は、故人が歩んできた生涯に想いを馳せます。
代表者の方数名に、故人様へ向けての弔辞やお手紙を読み上げて頂きます。
弔電を頂いた場合は、そのうちの数点を司会者が奉読します。
故人が生前に好んだ曲などを流します。
式場内の音響を用いて流すこともあれば、演奏者を招いた生演奏を行うこともあります。
また、スライドショーや映像を用いることもあります。
参列者1人ずつが献花をします。
献花に用いる花は白のカーネーションなどが多いのですが、喪主の希望のものを用意してもらうこともできます。
参列者に向けて、喪主が挨拶をします。
喪主ができない場合は、代理として他の親族がしても構いません。
無宗教葬の場合は納骨や四十九日をどうする?
無宗教の場合は、納骨や四十九日などは気にしなくても問題ありません。
お墓がある場合は納骨しますが、遺族が寺院の必要性を感じないのであれば来ていただく必要はありません。
これから新しくお墓を建てる場合は、宗教性を排したデザイン墓も多くあり、寺院に開眼法要をしてもらわずに、お墓として礼拝の対象とする方もいます。
また、お墓すら建てずに海洋散骨や樹木葬、宇宙葬などを行われる方もいます。
四十九日法要も遺族が必要を感じなければ執り行わなくても構いません。
ただし、葬儀は家族だけで完結するものでもなく、故人の知人、近所の人たちなど、遺された遺族のそれぞれの付き合いもあります。
社会通念上、四十九日法要を経て忌明けと考えられていますので、そうした配慮を持った行動をするのが望ましいでしょう。
つまり、49日間の忌中は気にしないけど、周りに心配をかけてはいけないために身を慎んでおく。
喪中なんて気にしないけど、周りに気を使わせないために年賀状を控えておく、といった具合です。
無宗教葬を行う上で注意すること
無宗教葬では、何よりも、自分たちで作った葬儀で自分たちの心を納得させることができるか、ということが大切です。
死に接する人は思いのほか平常心でいられなくなり、気が動転してしまいます。
葬儀は、気持ちが納得したり、安心したり、落ち着いたり、そうした効果を少しでももたらせるために執り行うものです。
そのような役割として、供養の専門家である寺院の読経や作法や説法などにはそれなりの意味や効果があるのではないでしょうか。
楽で、安くて、自由で、お寺づきあいがいらないとお考えの方には、一度、無宗教葬の是非をじっくりと考えていただきたいです。
- 自分たちがどうして、わざわざ儀式をするのか。
- 自分たちが作りあげようとする儀式は本当に私たちに安寧をもたらせてくれるのか。
ということを考えてみましょう。
周囲の人たちの合意を得られるかどうか
喪主や家族は納得していても、親戚など周囲の人たちの中には無宗教葬を理解できない人たちもいます。
トラブルの原因になる可能性もありますので、きちんとした説明と合意が必要になります。
葬儀の事前相談を利用しつつ、親族・親戚などともあらかじめ相談しておきましょう。
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