ご臨終の後、一連の儀式を行ってから自宅や安置所へ搬送することになります。
ここでは、ご臨終後に行う一連の儀式である、末期の水、清拭、死化粧について紹介しています。
末期の水について
末期の水(まつごのみず)は、死に水とも言われ、臨終した故人の口を水で湿らせる儀礼です。
息を引き取る際にのどの渇きを訴え、水を求めることが多いために行われてきました。
割り箸で脱脂綿を挟んだものを、濡らして末期の水とします。
脱脂綿の他に筆や、綿や、紙や、樒(しきみ)の葉を利用する場合もあります。
病院での末期の水は、割り箸に脱脂綿を挟んだものが一般的です。
昔は、末期の水は、親族が一人一人行っていました。
ですが、最近では病院で亡くなることが多いので、看護師が執り行うこともあります。
また、死の直後ではなく、自宅などに安置してから、親族一人一人が末期の水を行うように配慮する葬儀社もあります。
清拭について
清拭(せいしき)とは、死者の身体をきれいに拭き清めることです。
病院などで死亡した場合には、看護師が清拭を行います。
全身を消毒液や湯水で拭いてきれいに整えます。
清拭には宗教的な意味もありますが、公衆衛生的な役割もあります。
また、清拭の際に詰め物をして内容物が外に出ない処置も同時に行います。
これらを含めて「エンゼルケア」とも呼ばれています。
清拭はもともと家族が行ってきました。
しかし、病院での死亡が80%を超える昨今では、病院の看護師、介護施設の職員、葬儀社のスタッフで行うことがほとんどです。
湯灌について
湯灌(ゆかん)とは、納棺する前に死者の身体を湯で洗うことです。
自宅で息を引き取ることが多かった時代には、死後に湯灌をして身体を清めてから死装束を身につけました。
現代では、自宅ではなく病院などの施設で亡くなることが多いので、死亡後すぐに行われるのは清拭です。
身体をきれいに整えてから、遺体を搬送します。
湯灌はむしろ納棺前の儀式の意味合いが強く、肌の出ている部分を親族で拭いて差し上げる拭き湯灌が主流です。
死化粧について
死化粧(しにげしょう)とは、遺体をきれいに整えることです。
顔の化粧だけではなく、頭髪や爪の手入れもします。
男性の場合は髭剃りも施します。
遺体への化粧とはいえ、特別なことをするわけではありません。
薄化粧を施すだけで、故人の表情は見違えるほどにきれいになります。
なお、死化粧については、すべての医療施設、介護施設、葬儀社が死化粧をしてくれるとは限りませんし、葬儀社では有料オプションとしているところもあります。
エンゼルケアについて
エンゼルケアとは死後処置の総称です。
上記で紹介した処置とほぼ同義語になります。
しかし、エンゼルケアという言葉の中には、これまでの死後処置、つまり物理的な処置だけにはとどまらない、故人に対して、家族に対して、その尊厳を守ることへの意味合いが含まれています。
入院中、闘病をしなければならない患者は風呂に入ることも許されず、点滴やドレーンを取り付けたままというケースもよくあるでしょう。
闘病後の姿で、汚れたままの状態で遺族に身体を引き渡す、あるいは死出の旅に出なければならないことは、患者の人間としての尊厳が守られているとは言いがたいでしょう。
エンゼルケアをすることで、患者がこれまで風呂に入ることすらできなかった身体をきれいに清めてあげます。
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