親族や友人、知人の葬儀に参列する場合は、必ずしもご遺体の顔を見てお別れできるわけではありません。
地域によっては、火葬を済ませてから通夜、葬儀を行う骨葬とよばれる葬儀があります。
骨葬について
骨葬とは、遺骨を供養の対象とした葬儀の方法です。
現在、一般的な葬儀では、式場内に祭壇を飾り、その前面に故人を納めた柩を安置します。
対して骨葬では、葬儀の前に火葬をし、祭壇中央に遺骨を安置して葬儀を執り行います。
骨葬の多い地方・地域
骨葬は北海道の一部、東北地方等の関東北部以北、甲信越地方の一部、中国地方や九州の一部で現在でも採用されている葬儀のスタイルです。
特に関東北部から東北地方が骨葬のエリアとして有名です。
ですが、同じエリア内でも、骨葬をする地域としない地域があり、その線引きは実に難しいものがあります。
地域性以外でも骨葬が行われる例
1.遺体の状況がよくない場合
骨葬は、なにも地域性だけによるものではありません。
やむなく骨葬にするケースもあります。
たとえば、お亡くなりの際の遺体の状況がよくない場合は、衛生面のことを考えて、まず先に火葬をして、それから骨葬をすることもあります。
2.故郷に戻って葬儀をする場合
東京などの都市部で多く見られる現象として、地方から上京されていた方が亡くなられ、故郷からご親族がご遺体を引き取りにこられた時です。
故郷のお寺で葬儀をするのですが、まず先に火葬をして、遺骨を持って故郷に帰るというケースも多くあります。
単に遺体の状況を心配してという理由もあれば、搬送費用が高額になるから、という理由の場合もあります。
東京から九州などの遠距離では遺体の搬送費だけで30万円を超えることもあります。
東京都心での火葬の費用を考えた時に、25万円前後ですから、これらを比較したうえで、先に火葬を選択をする方もいます。
3.密葬のあとの本葬をする場合
代表的な骨葬は、密葬のあとの本葬です。
密葬とは周りの誰にも知らせずに葬儀を執り行うことから、直葬や家族葬と混同している方が多くいますが、本来の密葬という言葉は、後日改めて執り行う本葬を前提としたもののことです。
故人が著名であったり、社会的影響力の強い人であったりする場合は、まず家族や親族だけで密葬を執り行い、火葬します。
そして後日、対外的に本葬を執り行います。
本葬を執り行う日程はさまざまですが、故人の死後1ヶ月や、四十九日にあわせて行われます。
本葬では祭壇中央には遺骨を安置し、礼拝供養の対象となります。
密葬と本葬と、2度に分けて葬儀をするのは以下のようなメリットがあります。
- 故人が社会的な影響力が強い人の場合、訃報がすぐに知れ渡ると連絡や弔問などが殺到するために、まずは家族や親族などの近しい人たちだけで葬儀を執り行うことで、ゆっくりと故人を送り出すことができる。
- 参列者数が多く、大規模な葬儀になるために、打ち合わせや準備に日数をかけることができる。
- 逝去から日程に余裕があるために、訃報や死亡広告など、広範な関係先にきちんと訃報が行き渡ることができる。
- 先に火葬をしておくことで、遺体の状況の悪化を心配しなくてもよい。
- 本葬のスタイルを「無宗教葬」や「お別れ会」や「偲ぶ会」にしたい時に、ホテルを利用することができる。
骨葬の流れ
骨葬の流れは以下のようになります。
葬儀の前に火葬をしますが、通夜の前にする地域もあれば、葬儀当日の午前中にする地域もあります。
- 一般的な葬儀
- 骨葬Aパターン(通夜・火葬・葬儀)
- 骨葬Bパターン(火葬・通夜・葬儀)
1日目:通夜
2日目:葬儀→出棺→火葬→初七日法要→精進落とし
1日目:通夜
2日目:出棺→火葬→葬儀→初七日法要→精進落とし
1日目:出棺→火葬→通夜
2日目:葬儀→初七日法要→精進落とし
骨葬のメリット・デメリット
メリット
- 密葬と本葬と分けることで、家族も、関係者も、余裕を持って葬儀に臨める
- 本葬まで時間があるためにゆっくりと準備をすることができる
- 会場の選択肢の幅が広がる
家族は参列者の対応に追われることなく、また関係者は急な訃報でお通夜に駆けつけることなく、双方がゆとりのある日程の中で故人を送り出すことができます。
まず火葬して遺骨にしておくことで、そのあとの葬儀についてゆっくりとじっくりと考えることができます。
お別れ会や偲ぶ会を希望の場合、ホテルでは遺体の納まった柩を受け入れてはくれませんが、遺骨であれば受け入れてくれます。
デメリット
- 参列者が故人の最期の顔を見ることができない
- 骨葬をしない地域では、理解してもらえないこともある
- 2度に分けて葬儀をする場合に、費用が高くつくこともある
先に火葬にしているために故人の顔を見ることができません。
葬儀後の火葬が一般的なため、骨葬そのものを理解してもらえないこともあります。
きちんと説明して納得してもらうことが大事でしょう。
密葬と本葬と葬儀を2度に分けて執り行うために、一般の葬儀より費用がたかくつくこともあります。
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