通夜や葬儀といった式典を省き、火葬だけを執り行う葬儀スタイルを「直葬」や「火葬式」と呼び、年々増加傾向にあります。
ここでは、直葬とはどのような葬儀なのかや流れ、費用、そのメリットとデメリットについて紹介しています。
直葬とはどのような葬儀なのか
直葬とは、通夜や葬儀・告別式などの式典を執り行わずに、火葬だけをする葬儀スタイルです。
「ちょくそう」と読むこともあれば、「じきそう」と読むこともあります。
また、直葬という呼び方があまりにも直截的すぎるということで、火葬式などと呼ぶ葬儀社も少なくありません。
直葬は、従来の葬儀スタイルの否定
従来の葬儀は、通夜と葬儀の2日間の日程で、仏教寺院を招いて読経を頂き、家族親族や関係のあった人たちにも参列してもらうというスタイルが一般的でした。
ここには、宗教的役割(宗教者による死者の供養)、グリーフケア的役割(遺族たちの死別の悲しみの緩和)、社会的役割(関係のあった人たちとの別れの場の提供と死亡の報告)などの、葬儀の果たすいくつかの役割がありました。
バブル崩壊後の日本社会に広がった葬儀の多様化は、こうしたスタイルへの違和感から生まれたものでした。
宗教的役割を不要とした「無宗教葬」、社会的役割を不要とした「家族葬」などは、もはや昨今の葬儀のスタンダードスタイルになっていると言っても過言ではありません。
そして、こうした従来の葬儀スタイルの否定の最たるものが、「直葬」ではないでしょうか。
直葬が生まれ、選ばれている背景
直葬を選んだ方の理由は次の通りです。
- 経済的理由(58%)
- 葬儀の意味を理解していない(14%)
- 宗教感の変化(9%)
- 参列者がいない(9%)
こうしてみると、経済的な理由が圧倒的なのがよく分かります。
バブル崩壊からの日本の長期低迷は葬儀のスタイルを大きく変えてしまったのです。
また、バブル期の葬儀はとにかく祭壇を大きく、おもてなしを豪華にするもので、「接待葬儀」などと揶揄されていたものだそうですが、こうした中身のない見栄の張り合いの葬儀に愛想を尽かせていた人も多く、葬儀の簡略化や縮小化の傾向は目に見えてあきらかです。
経済的理由以外にも、葬儀そのものの価値が低下していることが挙げられます。
戦後の日本は猛烈な経済復興を遂げる事になるのですが、子供を産み、よく働き、よく稼ぐ事がよしとされていた時代です。
生産性からはほど遠い死者の供養や先祖崇拝の関心度は低下していきました。
また、核家族化が進行すると、幼い頃から葬儀や法事に参列するという経験がありません。
こうした時代にあって葬儀の必要性、葬儀にお金をかける必要性を感じなくなった人がにわかに増えていき、直葬の浸透につながっているという見方もできるでしょう。
さらには高齢社会になることで、故人と縁故のある人たちもすでに亡くなっていたり高齢であったりと、参列者がいないから直葬を選ぶ、という面もあります。
景気低迷、従来の葬儀への違和感、ライフスタイルの変化、宗教感の変化、高齢社会など、さまざまな背景をもとに直葬は増えているのです。
葬儀全体の10〜20%が直葬
直葬を選ぶ割合は全体の16%で、関東地方に限っては22%と、6人に1人が直葬で葬儀を執り行っています(ちなみに地方部は10%前後)。
葬儀社の調査結果でも、2014年のデータとして、直葬の割合は全体の16.2%という報告されています。
この6人という数字が多いか少ないかはさておき、推移として増加傾向にあることは間違いありません。
景気低迷、高齢化、宗教感の変化、血縁や地縁や社縁などのつながりの希薄化が、直葬の直截的な原因と言えるでしょう。
直葬の流れ
直葬では、通夜や葬儀のように会館を借りての式典を執り行いません。
病院や警察署から遺体が引き渡されると直接火葬場に向かうことから「直葬」と呼ばれているのですが、実際には、一度どこかに安置しなければなりません。
1.逝去~搬送
逝去すると、病院では「死亡診断書」、警察では「火葬許可証」が発行され、ご遺体は遺族に引き渡されます。
すみやかに葬儀社に連絡して搬送の手配をしましょう。
搬送先は、火葬場や、安置施設になります。
火葬は原則的に死亡時刻から24時間経たなければ執行できません。
一日またいでから火葬というケースがほとんどです(遺体引き渡し当日に火葬ができるケースもあります)。
葬儀社に相談して手配してもらうのがよいでしょう。
2.安置
直葬を選ぶ多くの方は、自宅以外の場所への安置を望んでいます。
火葬場が保有している安置施設を利用するのが一番効率的ですが、満室の場合は他の安置施設を利用します。
このような施設では、一つの空間に複数のご遺体が安置されています。
面会などにはさまざまな条件が設けられていますので、事前に確認しておきましょう。
3.火葬
火葬の流れは火葬場によって異なりますが、火葬執行時刻の約30分前には到着し、待機します。
執行前に、棺のふたをあけて最後のお別れをします。
お花や副葬品がある時にはこのときに入れてあげましょう。
ふたを閉めて、柩を火葬炉に納めます。
火葬炉前では寺院に読経をしてもらうことはできます。
ただし、公共施設であるために、ほとんどの火葬場は10分程度に抑えるよう取り決められています。
拾骨までの待ち時間は早い所で45分、遅い所で2時間程度です。
拾骨は、2人で1組の箸を持って遺骨を壺に納めます。
全部収骨と部分収骨は地域によって異なります。
また、遺骨と一緒に「埋葬許可証」が手渡されます。
埋葬の時に必要な大事な書類なので保管しておきましょう。
直葬の費用と相場
地方の場合
直葬の費用相場は、全国的に見て安いところは10万円台からになります。
全国的には斎場運営は行政が執り行い、火葬場は市民の生活インフラの施設と言えます。
市民に限り火葬料が無料というところも数多く、有料の場合も5,000円や10,000円程度でしょう。
あとは葬儀社に支払う部分がどれくらいになるか。
積算していくと10万台からで、さまざまな諸経費が掛かったとしても20万円台までだと思われます。
東京都心部だと20万円台~30万円台
地方部と違って費用が掛かるのが東京23区地域です。
平均的な相場は20万円台~30万円台になります。
東京23区と近郊の一部の火葬場は、全国的に珍しく、民間企業が運営しています。
23区内で6の斎場を運営する東京博善の火葬料金は一般的な「最上等」で59,000円です。
これは郊外や地方部の公営斎場の火葬料と比べると全国的に見ても突出しています。
ただ、首都圏には大小の葬儀社が乱立していますので、複数の葬儀社と比較していくことで安く火葬を請け負ってくれるところもあるかもしれません。
直葬のメリット・デメリット
直葬のメリットは葬儀が簡単で安いことです。
一方、デメリットは、ゆっくりとお別れができないことです。
目に見えない故人の供養や目に見えない自分たちの悲しみの慰撫など、葬儀にはさまざまな役割があります。
目に見えないものが相手だから、お金をかける必要がないと考える方もいますし、目に見えないものが相手だからこそ、きちんとしないと気持ちが悪いと考える方もいます。
葬儀は、人ひとりが一生懸命に生きてきた人生の終焉の儀式です。
メリットやデメリット、つまり損得、手間やお金、合理性や経済性だけで測るのではなく、故人様への想い、自分たちの想いなど、目には見えないけれど確実に自分たちの中にある「想い」を基準に考えてはいかがでしょうか。
もちろん、簡素な直葬で満足される方もいます。
自分たちにとって最上のスタイルで、故人様をお送りしましょう。
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