お墓を建てるにはまず墓地を取得しなければなりません。
墓地選びは、その後のお墓参りや供養にも左右するとても大切なことがらです。
墓地を探すにあたって、筆者の考える一番大切なポイントは、「この墓地にお墓参りに行きたいな」と思える墓地かどうかです。
価格が安い、家から近いといった合理的な理由ももちろん大切ですが、なによりも、現地に立った時の第一印象や直感といった「心のはたらき」を大切にしましょう。
その上で、この記事では、「心のはたらき」以外にもいくつかある、墓地選びの際の大切なポイントをまとめてみました。
立地
立地はとても重要な要素になります。
「お墓参りされていることこそがいいお墓」だと考えるからです。
立地の悪い墓地だとお墓参りが疎遠になってしまいます。
一方、立地の良い墓地だと気軽にお墓参りに行く気分になれます。
だからこそ、お墓参りのしやすい立地は最重要項目だと筆者は考えます。
ちなみに、ここで言う「立地」というのは、ただ自宅から近い遠いだけではなく、お墓参りのしやすさ、だと思います(もちろん近いに超したことはありません)。
ですから、実際に自宅から墓地までの移動をきちんとシミュレーションしながら墓地を検討しましょう。
移動の方法は、自動車を利用する人もあれば、公共交通機関を利用する人もいることでしょう。
自動車で行くならば、その墓地までの経路が分かりやすいか、墓地の駐車場は利用しやすいかなどを見極めましょう。
また、公共交通機関を利用する人は、実際に自宅から墓地までの道程をシミュレーションしましょう。
最寄りの駅やバス停があるのか、霊園側によるバスの送迎サービスがあるのかなど事前に確認しておきましょう。
墓地の種類
墓地には4つの種類あります。
公営墓地
市などの地方自治体が運営する墓地のことです。
管理者が行政であるという安心感、広々とした敷地、宗教などの制限がない、石材業者の指定がないなどの理由から、一番人気がある墓地です。
そのため、入手が困難で抽選になったり、売り出されている墓地でもすでに誰かが使用していた墓地を更地にした返還墓地だったりします。
民営墓地
民営墓地とは、一般企業が管理運営する墓地のことです。
法律上、営利目的である会社法人は墓地の経営ができないために、宗教法人(主に寺院)と提携して経営がなされています。
民営墓地はさまざまな場所で造成されているために、たくさんの選択肢の中から自分にあった墓地を選ぶことができます。
また、利用者目線で設計されているために、バリアフリーやもろもろの設備が充実しているのも特徴です。
反面、費用は比較的高く、また開発業者と石材業者が提携しているために、施工業者が指定されていることがほとんどです。
この場合、複数の業者との相見積もりができないので、注意が必要です。
寺院墓地
寺院墓地とは、寺院が檀家向けに管理している墓地のことです。
他の墓地と違って、境内にお寺の家族が常にいる、いつでも供養をしてもらえるという安心感があります。
ただ、墓地を取得するためには寺院の檀家にならなければならず、寄付やお布施などの経済的支援や法要や行事への参加など檀家としての務めを求められることもあります。
檀家になる必要のないケースもあるようなので、まずは事前に寺院に確認しましょう。
村落墓地
村落墓地とは、住まいの村(自治会)が管理運営する墓地のことです。
もともと墓地は村の住民たちが、自分たちの村の外れに遺骨や遺体を埋葬して墓地としていました。
その場所をいまでもそのまま墓地にしているケースは日本全国で見られます。
住民向けの墓地なので、費用は安価であることが多く、家からも大変近い距離にあり、もしもあなたのお住まいの自治会で墓地を持っているのならまずは検討してみてもいいでしょう。
ただし、そもそも空きがなかったり、古いお墓と新しいお墓が乱立していたり、自治会によっては管理の質に大きな差があったりします。
普段のご近所付き合いの延長として、お墓参りの時に顔を合わせたり、清掃作業などへの参加も必要になったりすることもあります。
価格・費用
墓地を購入するためには、「永代使用料」と「管理費」を支払わなければなりません。
また、墓地面積が広くなると価格も上昇するので、お墓の希望のデザインと、それに必要な面積と、費用のバランスを考えて墓地を選びましょう。
- 永代使用料
- 管理費
永代使用料は、墓地を永代に渡って使用するための権利を取得するために支払います。
よく誤解されるのですが、わたしたちは「権利」を手に入れるのであって、「土地」を手に入れるのではありません。
ですから、譲渡や転売はできませんし、登記や固定資産税の支払いも不要です。
管理費は、毎年請求されるケースと、墓地取得時に一括で請求されるケースがあります。
墓地の価格は、墓地の種類などではなく、地価によって決まると思えば問題ありません。
都心部に行けば行くほど高騰し、郊外や地方になると安価になります。
環境
お墓参りをしたときに、気分が清々しくなるような墓地が理想です。
見晴らしがいい、日当たりがいい、風がよく通る、周囲が静かな環境だなど、墓地やその周辺の環境を総合的に判断しましょう。
はじめの方でも紹介しましたが、実際にその墓地に立った時に感じる第一印象や直感を大事にされるとよいでしょう。
設備
墓地の設備の充実度は大切な要素になります
次の項目のようにお墓参りやお墓掃除をしやすい設備が整っているかも確認しましょう。
元気なうちはしっかり歩ける足腰も、年齢を重ねると負担になるものです。
そのあたりも考慮して判断するのがよいでしょう。
- 駐車場から墓域までの距離が長すぎないか
- 路面が舗装されているか
- 手すりがあるか
- バリアフリーにも対応しているか
- 水回りは清潔に保たれているか
- 桶や杓や掃除用具がそろっているか
宗教
墓地によっては宗教の制限がある場合もあります。
公営墓地は、行政が個人の宗教に言及することはできないために、どの宗教宗派でもお墓を建てることはできます。
民営墓地では事業主が寺院の場合は宗教の制限を設けることがあります。
たとえば、伝統的な仏教宗派は受け入れるが、キリスト教や新興宗教は受け入れないなど。
また、寺院墓地では、その寺院の檀家になることが条件になるので、他寺院による供養そのものができないでしょう。
墓地を取得する際には、予め自分の宗教でお墓を建ててもよいのか、必ず確認しておきましょう。
石材店
墓石工事を施工する石材店を指定している墓地の場合は十分に注意が必要です。
公営墓地では、石材店の指定や斡旋はありません。
むしろ、民営墓地や寺院墓地では石材店が指定されていることが多くあります。
民営墓地の場合、「民営」と謳っているものの、法律上一般企業は墓地の経営ができません。
墓地の経営が許されているのは、宗教法人、公益法人、地方自治体であり、宗教法人(主に寺院)と提携して墓地経営をしていることがほとんどです。
墓地の造成段階から、石材店や開発業者が先行投資しているために、墓地だけ売れてお墓の工事は他の業者にされてしまうと儲けがなくなります。
ですから民営墓地では石材店が指定されていたり、墓地と墓石がセットで販売されていたりします。
また、寺院墓地ではなじみの石材店に指定していることが多いようです。
石材店が指定されていると、他社との相見積もりができずに、価格が言い値になってしまうことが多いので、商談の際には十分に注意しましょう。
霊園・墓地選びで迷ったら『いいお墓』へ
納骨堂や永代供養墓、樹木葬も多数掲載。
必ず希望にあった霊園・墓地が見つかります。
複数の霊園の資料請求や見学予約がWEBで簡単にできます。