生前贈与とは?生前贈与のタイプ別に解説

生前贈与とは
所有する財産の行方について考えた時、一つの選択肢として思い浮かぶ「生前贈与」。
一体、生前贈与とはどういうもので、いざ実行したい時にはどのような手順をたどるべきなのでしょうか。

贈与する種別としては、土地や建物、事業、保険などがありますが、それぞれの手順について、考えていきましょう。

生前贈与とは?

生前贈与とは、生きている間に、配偶者や子どもなどへ無償で財産を贈与することを指します。
自分の財産を、自身の判断によって選んだ相手に引き継がせることができる点が特徴です。

特に生前贈与の目的として多いのは、相続税対策や遺産分割対策です。

故人となってから財産を相続させると相続税が発生しますが、生きているうちであれば相続ではなく贈与となるため、相続税はかかりません。
ただし、その分、贈与税が課せられることになります。

また、贈与の場合は、財産を渡す贈与者と、受け取る受贈者との意思によって成立する一つの契約です。
そのため、生前贈与が成立するには、まず贈与契約書の作成と贈与税の手続きが必要となります。

生前贈与のタイプ別の手順

生前に贈与することができる財産として、土地・建物といった不動産、事業を継承させるための株式などの有価証券、現金、生命保険契約などが挙げられます。

生前贈与をする場合は、こうした財産のタイプによって手順が異なります。

どのタイプについても生前贈与を有効とするために、まずは財産を渡す相手に申し入れ、相手から承諾を受け、贈与契約を結んでからの運びとなります。

それでは、生前贈与の手順をタイプ別に見ていきましょう。

タイプ1:土地・建物の場合

土地・建物
土地や建物といった不動産を生前贈与するには、物件の引き渡しと共に、所有権の移転登記が必要なため、法務局で名義変更をします。

始めに、法務局へ提出する必要書類を準備し、申請書を作成してください。

必要書類は、次の通りです。

  • 贈与契約書にあたる登記原因証明情報
  • 贈与者の印鑑登録証明書
  • 受贈者の住民票
  • 不動産の権利証
  • 固定資産評価証明書
  • 贈与対象の不動産の登記簿謄本

申請書については、書式等の指定はなく、必要な情報が明記されていれば認められます。

生前贈与の登記|不動産の生前贈与

2019.05.24

タイプ2:事業の場合

事業
生前に事業の継承をするなら、経営権が後継者へ滞りなく移るように考慮しなければなりません。

そのためには、経営者の持つ株式のすべて、または大部分を後継者に移すようにします。
重要な経営事項の決定には、3分の2以上の株式を経営者が保有している必要があるのです。

生前贈与の方法としては、暦年課税贈与と相続時精算課税贈与の2種類があります。

暦年課税贈与の場合は、年齢や財産に応じた計画を立て、贈与契約書を作成して残し、振込送金によって出金と入金などの事実を明確にしておくようにしましょう。
通帳や印鑑などは、贈与を受ける者に渡しておきます。

相続時精算課税贈与については、受贈者が税務署に対し、提出期限内に贈与税の申告をします。
 

タイプ3:現金の場合

現金
作成した贈与契約書は必ず保管しておき、通帳や印鑑も贈与を受ける者が持ちます。
贈与の事実が証拠として残るよう、現金での受け渡しではなく、金融機関の口座を通じて資金の移動をしましょう。

贈与契約書と同じ日付で財産を移せば、金融機関の通帳で贈与を確認することができます。
もちろん、あらかじめ受贈者に対して、贈与について知らせておかなければなりません。

タイプ4:保険の場合

生命保険
特に、現金や預貯金といった資産が多い場合、相続税が多額となる可能性が高くなります。
この相続税の節税をするには、生命保険の契約によって、生前贈与を行うことも一つの方法です。

現金をそのまま受贈者に渡す形ではないため、財産をすぐさま浪費してしまうことなどを防ぐ効果もあります。

手順としては、まず生命保険の契約者は贈与を受ける者に、被保険者は贈与をする者に設定して、生命保険に加入します。
保険料の払い込み人は贈与をする者で、保険金の受取人は受贈者です。
合わせて、贈与と認定されるように、毎年、忘れずに生前贈与契約書を作成しましょう。

そのほか、贈与であることが証明できるよう、贈与税の申告書などを保管しておきます。
こうした生命保険の死亡保険金は遺産とはならず、したがって遺産分割協議の対象から外れます。

さいごに

以上のように、財産の種類によって必要な手続きが異なるものになります。
いずれにしても、何を誰に贈与するのか、考えて計画を立て、贈与する相手に知らせて承諾を得てから、それぞれの手続きを進めるという手順を踏みましょう。

不動産、事業、生命保険など、さまざまなタイプの生前贈与の手続きに悩んだ際には、司法書士などの専門家に相談してみるのも良いでしょう。
生前贈与をすることで利点が生じるのは確かですが、その分、生きている間の資産が減ることも十分考慮しておきたいものです。
        

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